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後悔という名の戯れ

「ENTWINNER」のシン様から頂きましたぁぁ!!
以前…半年位前でしょうか…私がGACKTの曲を聴いて、
悲恋蔵馬の妄想でパーンッ`。*:`( ゚д゚* )となりましてw
その勢いで描いた落描きに、今度はシン様が滾ってくださり…という連鎖反応(笑)
「いつかお話に!!」と言って下さったセリフを執念深く覚えていた猫乃さん。
別リク時にさりげにおねだりしたら書いて下さいました///
曲の世界観とかはそのままに、蔵飛!!しかも切なすぎて地面にめり込むっっ( ´Д⊂ヽ
うわぁぁん、心が痛いっっ、…でも美味しい(爆)
シン様、お忙しいのに本当にありがとでした!!感謝感激!!

追記よりドウゾ→



後悔という名の戯れ


「あの女が、死んだそうだ」



帰って来た飛影が小さな声で、そう告げた。
それは何の感情も籠っていない、いつものように淡々とした声だった。


でもその言葉は、まるで死刑執行人の宣告のよう。


身体は間違いなくここにあるのに、目の前は真っ暗で
心はどこに行ったのか分からない。息が、出来ない。



「・・・・・・そう」

「明日、葬式だそうだ」


お前にも、伝えておけって。


コトコトと小さな音を立てる鍋の中には、飛影の好きだった
クリームシチューが。


ピー、というアラーム音はオーブンの中でローストビーフが
こんがりと焼き上がった知らせだ。


台所に向かったままだから、飛影の顔が見えない。
振り返ってそこにいる彼を見れば・・・オレは間違いなく、壊れる。


「・・・分かりました。じゃあ、行っていいですよ」


震えるかと思った声は、拍子抜けするぐらいにいつも通りの
自分の声だ。そう、大したことじゃない。この日が来るのは分かってた。


何度も何度も、必死に自分に言い聞かせてきた。
あらぬ期待をしてしまう自分を、何度も何度も、葬ってきた。


「だから、葬式は明日・・・」

「それは聞きました」


飛影の言葉を許さないとでも言うように、蔵馬は言葉をかぶせた。
トントントントン、と包丁の立てる音だけが、響く。


「蔵馬・・・?」

「出て行って下さいと言ってるんです」


背後で飛影が息を飲む気配がした。
重苦しい沈黙が、二人を覆った。


振り向いてはいけない。オレは、オレは。


すぅ、と息を吸うと、蔵馬は一気にまくし立てた。


「蛍子ちゃんが亡くなったのなら、もう貴方がここにいる理由はない。さっさと、幽助のところへ行けばいいでしょう」


落ち込んでいる彼を、慰めて来ればいい。


鍋の蓋をあけ、まな板の上の野菜をザッと放りこんだ。
包丁とまな板とボウルを、乱雑にシンクの中へ落とす。


背後からは、何も聞こえない。


「貴方は、ここにいるべきじゃない。ここにいる必要もない」


それは、貴方が一番知っているでしょう?


こんなに言っているのに、飛影が動く気配はない。
ただじっと、オレの背中を見つめている。


「・・・行けって、言ってるんです」

「蔵馬。俺は・・・」


シンクの上で握りしめた拳が、白く軋んで音を立てた。
早く、行ってくれ。でないと、もう・・・!!


「さっさと行って、幽助の事を抱きしめてあげればいいじゃないですか!貴方が望んだことだ。邪魔者がいなくなって、清々してるんでしょう?!」


違う。こんな事を言いたかった訳じゃない。
もっと、本当は、そう。笑って彼を送りだして、幸せにねって。
お役御免のオレなんか気にしないで、行っておいで。


・・・そう、背中を押してあげるつもりだったのに。


「・・・出てってくれ、もう、二度と、ここには来るな!!!」


断末魔の叫びのような、醜いさようならの言葉。
愛すべきではない人を愛してしまった愚か者の、悲惨な末路。


凍りついた、青ざめた顔をした飛影が一瞬だけ目の端に焼きついた。
オレは彼を追い出すように、玄関のドアを閉めた。


バタンという音と共に、全ての扉は閉ざされた。




*  *  *




飛影がオレを愛していない事なんて、百も承知だった。
飛影の目は、常にオレではなくて彼を追っていたから。


そんな飛影を応援していたし、支えになってあげられたらと思っていた。


幽助が好きな彼をからかったり、時には助け舟を出したり。
まだそのころは、本当に純粋にそういう気持ちだった。


それが一変したのは、幽助が結婚式をあげた夜だった。


たくさんの人や妖怪たちに祝福されて幸せいっぱいの幽助たちを、飛影は式場のすみっこでただ黙って見ていた。


みんなの前ではいつも通りにふるまっていた飛影だったが、
二次会へは行かずに無言でオレについて来た彼は、部屋に入るなりその小さな身体をぶつけるように必死にオレに抱きついてきた。


まるで、救いを求めて震える子供のように。


今にも消えてしまいそうな儚い彼の身体を、オレは誰にも負けない力で何度も何度も抱きしめて、その報われない想いを受け止めた。


代わりでいい。寂しいのなら、傍にいてあげる。
・・・でも本当は、それは決して越えてはいけない一線だった。


あれから一体、何年経ったのだろう。
何度となく飛影は、オレの部屋を訪れてくれた。


他愛もない話に、他愛もないやりとり。
寒い日には共に寄り添って寝たし、埋められない想いの代わりにオレはありったけの優しさで彼を包んだ。


そうしていつの間にか、慣れ過ぎてしまっていた。
こんな日がいつまでも続くなんて、都合のいい夢を見ていたんだ。


からかうと本気で怒る、純粋で可愛らしいところを。
本当は誰よりも心優しいのに、素直じゃない意地っ張りなところを。
不意打ちの口づけで見せた、照れたような困った笑顔を。


・・・オレの側で、見せてくれていたから。


ぽたり、と音がした。

ぽたりぽたり、とそれは続けざまに何度も落ちていって
床の上で水たまりのようになっている。


「・・・ッ」


泣いている?この、妖狐蔵馬が?

いや。・・・そんな大層な通り名のついた妖怪など、もうどこにもいない。
自業自得な自己満足で周りが見えなくなったただの愚か者が、ここにいる。


一度堰切った想いは、涙とともに決壊して体中を暴れ狂う。
死にそうなほどに、苦しい。


「・・・っぐ、う、」


次から次に、止まらない。止められない。
愛してはいけないのに、愛してはいけなかったのに。


「ひ・・・えぃ、飛、影・・・」


彼の名が、溢れる。
彼の名を紡ぐ喉の奥が引き攣れて、痛い。


・・・行かないで、飛影・・・!!




「飛影ッ・・・飛、影・・・飛影!!!!」


ダァンッ、と壁を思いっきり叩きつけた。

何度も何度も彼の名を叫びながら、拳に血が滲んでも
何度も何度も殴り続けた。


届かない。この気持ちが大き過ぎて、重すぎて。
この想いを抱えたまま、どこまでも深く深く沈んでいく。


ズルズル、と壁に寄り掛かった身体が床の上に崩れ落ちた。
このままこの涙の海で、溺れてしまえたら。


「・・・飛、影・・・愛してたんだ・・・」






END...?


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