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真夏の木漏れ日の下で【前編】

「ENTWINNER」のシン様より、縁と運に恵まれて、
9000のキリ番を踏ませて頂き書いて頂ました!!
あれも、これも、それも、どれも、書いてもらいたくて
あぁぁぁぁぁ、迷う~、どうしよう((((;゜Д゜)))って、
リク内容をご本人に相談すると言う駄目っぷり(爆)
挙句、複数希望出してシン様に決めてもらう、という型破りな方法にwww
別名、濃厚白濁蔵飛丼(爆)、ご堪能ください!!シン様、心からありがとう!!

追記よりドウゾ(前編は全年齢対象ですw)→


真夏の木漏れ日の下で【前編】


今日はいったい、どれだけぶりの逢瀬だったろう。


言葉なんて要らない。ただ、会えなかった間の隙間を熱い抱擁で埋めてくれれば、他には何も要らない。


それなのに、目の前の狐はいつも言葉ばかりを欲しがる。


「飛影・・・!!どうしてもっと早く来てくれなかったの?」

「・・・・・・」

「ねぇ、飛影。貴方は?貴方もオレに会いたかった?」


矢継ぎ早の質問責めに飛影が気持ちを言葉にうまく換えられないでいる間に、蔵馬の機嫌はみるみる降下していった。


「・・・飛影はどうせ魔界にいる方が楽しいんですよね、オレといるより」

「こっちで暴れるなと言ったのはお前だぞ」

「それはそうだけど・・・ほんと、バトルの事しか頭にないんだから」

「お前の頭には仕事と母親しかないだろうが」


久しぶりに会ったというのに、二人の唇は熱い想いを交わすどころか出てくるのは嫌味ばかり。


会いたかったというその思いとは裏腹に、互いに会えなかった時の辛さや寂しさの方が先行して、気付けばこうして言い争ってしまう。

・・・こんな思いをするために、我慢していた訳じゃないのに。


「そうだ!ねぇ、飛影」


険悪な重い空気の中、突然蔵馬が声を上げたので飛影は思わず床を見つめていた視線を上げた。 そこには、ムカつくぐらいの満面の笑みが。 先ほどまでの仏頂面は、一体どこへいったのか。


むしろ、この言い争いの発端は貴様だろうが。違うか?


飛影はそう喉まで出かかったが、それでもこの耐えがたい状況が少しでも変わるというのなら・・・聞いてやらんでもない。


「・・・なんだ」

「二人で合宿、しませんか?」





* * *





久しぶりに来た山奥の寺は、夏真っ盛りの青い空の下木々の緑は旺盛に萌え、梢にとまる蝉の声が喧しく木霊していた。


「何もこんな朝早くから・・・」

「何言ってるんですか。合宿なんですから当然です」


階段を登りきると、そこは幻海の寺の境内だった。


「じゃあオレはお勝手の方に行ってますから」


飛影は部屋の方を開けてきてくれます?あ、このカバンも置いて来てくれるかな。


こちらの返事を待たずに、蔵馬はやけにデカい荷物を抱え直すと寺の奥の方へとさっさと行ってしまった。


合宿とやらの何がそんなに楽しいのか、蔵馬は道中もかなりのご機嫌だった。 しかも、このためにわざわざ仕事の休みを調整したらしい。

あんなに、忙しい忙しいばっかり言ってたくせに。


「・・・ワケの分からん奴」


ひとり呟くと、飛影は廊下の突きあたりにある部屋の格子戸を開ける。


途端にホコリ臭い空気が鼻を覆い、くしゃみが出た。 しばらく使っていなかったであろう部屋の床はザラリとして空気も澱んでいる。


ずかずかと部屋の奥へと進み、障子を開け放つ。 途端に爽やかな森の空気が身体をするりと通り抜け、去って行った。


竹藪の中を通り抜ける風が、サワサワと心地良い音を奏でる。


「いい風ですね」


気付くと、すぐ後ろに箒と水の入ったバケツを持った蔵馬が立っていた。


「さ、部屋の掃除が済んだら裏の山で手合わせしましょう」





* * *





「あぁ、もう限界!!」


あちこち擦り傷と切り傷だらけにして土埃まみれになった蔵馬が地面に大きく大の字になり寝そべっている。


飛影も少し腕と足に傷を負ったが、倒れこむほどではない。 普段から鍛練して数多の妖怪共とやりあっているのだ。自然と差が出る。


「鈍ったな、貴様。普段から座ってぱそこんばかりやってるからだ」

「オレは頭脳派なんですよ。飛影みたく力技で生き残ってきたわけじゃありませんからね」


でも、ここまで差がついているとはなぁ。。。正直、ショック。


そう言って大きく溜め息を吐くと、その長い足を高く上げてくるっと一回転して起き上がる。 蔵馬は服についた汚れを軽く払い、額の汗を拭った。汚れていた手で拭ったので、さらに顔が汚れる。


「じゃ、午前中はこのぐらいにしましょうか」


寺に戻ってお昼を食べてから、またやりましょう。


「フン。限界なんじゃなかったのか?」

「フフ。次はそう簡単には負けませんよ。見てて下さい」


そう笑う顔は、泥まみれなのに心底幸せそうだ。


「お昼はカレーなんですけど、いいですか?」


何でもいい。そういう意味で軽く頷いた。
クシャッと頭をなでられ、また奴が笑った。今日は本当に、よく笑う。





寺の境内にある井戸で、二人は軽く汗を流した。


木漏れ日が足元の水場に反射して、小さな光のかけらが二人の肌の上で踊る。 それに気付いた蔵馬が、飛影の唇の上に乗った光の上から小さなキスをした。


突然唇を奪われた飛影は、仕返しに手にしていた桶の中にある水を蔵馬に向かってぶちまけた。 蔵馬の長い髪が水の重みで顔に纏わりつき、頬を汚していた泥が流れた。その様子が何とも滑稽で、飛影は声をあげて笑う。


「ッこの悪戯っ子め!!」

「お前が先だろうが!!」


二人して子どものように何度も水を掛け合って、じゃれあった。





* * *





二人で山盛りのカレーを平らげたあと(飛影は2回もお代わりをした)、 今度は互いに本気を出しての手合わせをした。もちろんここは人間界なので飛影は黒龍波は封印し、蔵馬も妖孤にはならずにではあったが。


俊敏な飛影に対してやや分の悪い蔵馬だったが、戦略にかけては飛影の何歩も先を行く。 多様な植物を駆使してあらゆる方向から飛影を攻めた。


蔵馬の繰り出す多角的な攻撃に加え、見たこともない植物が仕掛けてくる思わぬ攻撃に飛影は少しばかり手こずっていたが、 二人の勝敗は7対3の割合で飛影に軍配が上がった。


二人して土の上に寝転び、澄み渡る空を見上げる。


「俺の勝ち、だな」

「でもちゃんと、貴方に片膝つかせましたよ」


まぁでも、ここでは貴方の言う通り暴れられないから物足りなかったかもしれないけどね。


「でも、合宿の楽しみはバトルだけじゃありませんから」


楽しみにしてて!そう言うと、蔵馬は起き上がり飛影の手を引いて起こした。 そのまま勢いよく引っ張り、汗まみれの身体を腕の中に引き寄せる。


「ふふ。汗でベッタリだ」

「なら離せ!!」


抱きつく腕を振り払おうと身を捩った飛影の首裏に手を差し込み、 上を向かせる。蔵馬の意図が読めたのか、勝気な大きな瞳が力強く見上げる。

偉そうにほほ笑んで見せる飛影の唇に、蔵馬は優しく吸いついた。





* * *





手合わせの後、風呂に入った二人は蔵馬の用意した浴衣に着替えた。 柳模様の麻の浴衣を粋に着こなした蔵馬を、飛影は呆れ顔で見やった。


「・・・わざわざ持って来たのか」

「ええ、いかにも夏満喫って感じでしょう?飛影にはこれね」


黒地に白の染め抜きがされた浴衣を手に有無を言わさない蔵馬の圧力に逆らえない飛影は、渋々袖を通した。


汗の引いた肌に、さらりと生地が滑る。


手早く深緋色の帯を締めた蔵馬は、持っていた細い紐で自分の袖を襷がけにすると飛影には麦茶の入ったグラスを渡した。


「飛影は縁側で涼んでいて下さい。オレは夕飯の準備しますから」


そう言うと、蔵馬は台所へと消えて行った。


一人になった飛影は、手にした冷えたグラスを持って縁側に腰かけた。 少しだけ傾き始めた太陽が、高くそびえる入道雲の向こうに隠れている。 木々を渡る風の音と、遠くで聞こえる野鳥の声。


程良い疲労と風呂上がりの心地良さで、次第に飛影の意識は遠くなっていった。





ふと気付けば、辺りは穏やかなオレンジ色に染まっていた。


いつの間にか掛けられたタオルケットを手に、飛影がぼんやりと庭を飛び交うトンボを目で追っていると、蔵馬がお盆を手にやって来た。


「あ、起きた?喉乾いてない?」


真っ赤に熟れたスイカの乗った盆を縁側に置くと、蔵馬は飛影の傍に腰掛けた。


「・・・どれくらい寝てた」

「1時間くらい、かな?」


まだ寝てるようだったら起こすつもりだったけど。

ひと際大きく切ったスイカを飛影に手渡すと、蔵馬もスイカにかぶりついた。 それを横目で見ながら、小さく溜め息を吐く飛影。


「「俺としたことが」」


小さく呟いた声に、なぜか声が重なった。まったく、同じ言い回しで。 目を見開いて振り向いた飛影に、クスクスと笑いを噛み殺す蔵馬。


「や、今絶対そう言うだろうなと思って」


茶化されていると分かった飛影が手にしたスイカを投げつけようかどうか逡巡しているちょっとの間に、蔵馬は話題を素早く変える。


「ね、飛影これ食べ終わったらちょっと手伝ってよ」


些細な怒りの矛先を失った飛影は、苦虫をかみつぶしたような顔で口の中のスイカの種を庭先に飛ばした。





蔵馬が縁側で炭を熾している間に、飛影は近くの川に降りて行って朝の内に蔵馬が仕掛けた籠を取って来た。


「蔵馬、取って来たぞ」

「あぁ、ありがとう。そこの桶に中身を出してくれる?」


言われるままに筒状の籠の中身を空けると、中から丸々と太った天然のウナギが。 黒くヌメヌメと動き回るその生き物に怯んだ飛影は、思わず後ずさりをした。


一度蔵馬の持つ気色悪い植物に散々な目に遭わされた飛影は、またもや蔵馬がヘンな事をしようとしているのかと訝しんでいるのだ。


「わぁ!!大物だよ、美味しそうだなぁ」

「こ、これを食うのか?!」


そうだよ、これが今日の夕飯のメインなんだから。 嬉々としてそれを見つめる蔵馬に、まだ不信感の拭えない飛影は恐る恐る水の張った桶を覗きこむ。


「ん?どうしたの、飛影」

「いや、お前がこれで俺に何かするんじゃないのか・・・?」


一瞬キョトンとした表情の蔵馬だったが、飛影の言わんとすることが分かった瞬間、破顔した。 お腹を抱えて、心底おかしそうに笑っている。


「な、何がそんなにおかしい!!!」

「だって、これ…!食べ物だよ、だ、大丈夫だって!あははははは」

「わ、笑うなッ!!」

「いや、飛影が今夜はそういう事したいってんなら、もちろん前向きに検討するけど?」

「あんなのもう二度と御免だーーー!!!」





* * *





蔵馬が太鼓判を押しただけあって、その日の夕飯は申し分なく美味かった。


じっくりと炙られていくその一見グロテスクな生き物からはとてもいい匂いがした。 溶け出た脂が炭に落ち、ジュウという小気味いい音が上がる。 何度も塗られたタレの香ばしい香りに、食指が騒いだ。


「ほら、お腹の大きいトコ美味しいよ」


炊きたての真っ白なご飯に、何枚も焼かれたウナギが重ねられる。 待ち切れずにかっ込んだ口内に、何とも言えない旨味がじゅわっと広がって行く。 あっという間にご飯もウナギも平らげた飛影に、蔵馬はすぐにお代わりのご飯を差し出す。


ぶ厚く切られた肉や大きなウィンナー、採れたての夏野菜、甘いトウモロコシもどれもこれもが、美味しかった。


「後でかき氷もしようね」


網の上で音を立てる食材をこまめに返しながら、蔵馬は一言もしゃべらずにご飯に夢中な飛影を優しく見つめていた。





十二分に腹を満たしたあと、飛影が縁側でゴロゴロしている間に片づけを済ませた蔵馬が飛影に声をかけた。


「飛影、お布団敷いたから部屋に行ってていいよ」


昼寝をしたにも関わらず、たらふく食べたせいでまたもや眠気に襲われていた飛影は素直にその言葉に応じた。


部屋の中に入ると、畳の上に綺麗に布団が敷かれてあった。


まるでこれからすることを象徴しているかのように、真っ白で皺ひとつない大きめの布団がひと組だけ。 傍らには、仄かな明りを灯す行燈が置かれている。


薄暗く照らされた部屋が、昼間とは全く違って淫微な雰囲気を纏っている。


突っ立ったままの飛影に、部屋に入って来た蔵馬が背後からそっと寄り添ってきた。


「・・・どうした?」


耳元で囁くいつもより低い声が、明らかに己を誘う色をしている。 羞恥に、期待に、身が染まる。 浴衣の合わせからするりと入り込んできた蔵馬の手が、飛影のわき腹あたりをすっと撫で上げた。


小さな熱い溜め息が、夜気の中に溶け込んで行く。


「今度はどっちが勝つか・・・勝負してみる?」






to be continuied...

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